つくばねそう (衝羽根草)

学名  Paris tetraphylla
日本名  ツクバネソウ
科名(日本名)  シュロソウ科
  日本語別名  
漢名  四葉王孫(シヨウオウソン,sìyè wángsūn)
科名(漢名)  藜蘆(レイロ,lílú)科
  漢語別名  王孫、牡蒙
英名  

2009/05/10 薬用植物園

 ツクバネソウ属 Paris(重樓 chónglóu 屬)には、ユーラシアに約20種、日本に3種がある。
  
(ダイスウァ属 Daiswa(蚤休屬)・キヌガサソウ属 Kinugasa(衣笠草屬)などを独立させることがある。そうすれば、Paris はユーラシアに3-5種)

   P. bashanensis(巴山重樓)
   P. bockiana(鐵燈臺) 
湖北産
   P. delavayi(滇王孫)
   タイワンエンレイソウ P. fargesii(Trillium taiwanense;
         球葯隔重樓・臺灣延齡草)
臺灣・江西・廣東・湖北・貴州・四川産
     var. petiolata(長柄重樓)
江西・廣西・西南産
    キヌガサソウ K. japonica(Pqris japonica)
   P. petiolata(重樓)
     var. membranacea(金綫重樓)
   タイワンツクバネソウ
(ドクケシツクバネソウ) P. polyphylla(Daiswa polyphylla;
         七葉一枝花・蚤休) 虫蛇の毒を休むと(本草綱目)。『雲南の植物』30
     var. appendiculata(短梗重樓)
兩湖・西南・チベット産
     タイワンツクバネソウ var. chinensis(P.chinenss;華重樓・金綫重樓)
         
山西・河南・陝甘・華東・湖北・西南・チベット・臺灣・インドシナ産,
         中国では根状茎を薬用 『全國中草藥匯編 上』pp.4-6
     var. oubescens(毛脈蚤休)
     var. platypetala(闊瓣重樓・寛瓣重樓)
華東・湖北・兩廣・西南産
     var. polyphylla(七葉一枝花)
江西・廣東・西南・チベット産,中国では薬用
     ニイタカツクバネソウ var. stenophylla(P.lancifolia;狹葉重樓・狹葉蚤休)
         
山西・陝甘・華東・兩湖・西南産
     タイトウツクバネソウ var. taitungensis
     var. yunnanensis(雲南重樓)
四川・貴州・雲南産
   P. pubescens(毛重樓)
   P. quadrifolia(輪葉王孫・四葉重樓)
   ツクバネソウ P. tetraphylla(四葉王孫・王孫)
     アイダツクバネソウ f. corollata
     ヨコグラツクバネソウ f. sessiliflora
     ウナズキツクバネソウ var. penduliflora
   P. thibetica(Daiswa thibetica;長葯隔重樓)
四川・貴州・雲南産
     var. apetala(無瓣重樓)
   クルマバツクバネソウ P. verticillata(P.hexaphylla, P.obovata;
         北重樓・上天梯・和葉王孫)遼寧・吉林・黑龍江・華北・甘肅産 
         
『全国中草葯匯編』下/71-72
   P. violacea(花葉重樓) 
    
 シュロソウ科 Melanthiaceae(藜蘆 lílú 科) については、シュロソウ科を見よ。
 和名は、赤い外花被片の上に乗る黒い液果の形を、羽根突きの翅になぞらえて。
 李時珍『本草綱目』(ca.1596)王孫の釈名に、「譜に曰く、〈楚は王孫と名づく。齊は長孫と名づく、又た海孫と名づく。呉は白功草と名づく、又た蔓延と名づく〉と」と。
 『本草和名』王孫に、「和名奴波利久佐、一名乃波利」と。
 『倭名類聚抄』王孫に「和名沼波利久佐、此間云豆知波利」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』王孫に、「ツクバネサウ同名アリ」と。
 
(ツチハリの正体については、下の誌を見よ。) 
 岩崎灌園『本草圖譜』(1828)に、「王孫 をにのまゆはき」としてフタリシズカの図を載せる。なお、王孫はツクバネソウであり、オニノマユハキはヒレアザミの別名でもある。
 属名は、ギリシア神話に出るトロイの王子パリスから。
 北海道・本州・四国・九州・華東・四川に分布。
 中国では、ツクバネソウの根茎を王孫(オウソン,wángsūn)と呼び、薬用にする。『中藥大辭典』0634 
 『万葉集』巻7/1338に、

   吾が屋前
(にわ,やど)に生ふる土針(つちはり)心ゆも想はぬ人の衣(きぬ)にす(摺)らゆな

とある土針は、古くはツクバネソウと考えられてきたが、牧野は正体不明といい、松田はメハジキであるという。

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