辨 |
ツクバネソウ属 Paris(重樓 chónglóu 屬)には、ユーラシアに約20種、日本に3種がある。
(ダイスウァ属 Daiswa(蚤休屬)・キヌガサソウ属 Kinugasa(衣笠草屬)などを独立させることがある。そうすれば、Paris はユーラシアに3-5種)。
P. bashanensis(巴山重樓)
P. bockiana(鐵燈臺) 湖北産
P. delavayi(滇王孫)
タイワンエンレイソウ P. fargesii(Trillium taiwanense;
球葯隔重樓・臺灣延齡草) 臺灣・江西・廣東・湖北・貴州・四川産
var. petiolata(長柄重樓) 江西・廣西・西南産
キヌガサソウ K. japonica(Pqris japonica)
P. petiolata(重樓)
var. membranacea(金綫重樓)
タイワンツクバネソウ(ドクケシツクバネソウ) P. polyphylla(Daiswa polyphylla;
七葉一枝花・蚤休) 虫蛇の毒を休むと(本草綱目)。『雲南の植物』30
var. appendiculata(短梗重樓) 兩湖・西南・チベット産
タイワンツクバネソウ var. chinensis(P.chinenss;華重樓・金綫重樓)
山西・河南・陝甘・華東・湖北・西南・チベット・臺灣・インドシナ産,
中国では根状茎を薬用 『全國中草藥匯編 上』pp.4-6
var. oubescens(毛脈蚤休)
var. platypetala(闊瓣重樓・寛瓣重樓) 華東・湖北・兩廣・西南産
var. polyphylla(七葉一枝花) 江西・廣東・西南・チベット産,中国では薬用
ニイタカツクバネソウ var. stenophylla(P.lancifolia;狹葉重樓・狹葉蚤休)
山西・陝甘・華東・兩湖・西南産
タイトウツクバネソウ var. taitungensis
var. yunnanensis(雲南重樓) 四川・貴州・雲南産
P. pubescens(毛重樓)
P. quadrifolia(輪葉王孫・四葉重樓)
ツクバネソウ P. tetraphylla(四葉王孫・王孫)
アイダツクバネソウ f. corollata
ヨコグラツクバネソウ f. sessiliflora
ウナズキツクバネソウ var. penduliflora
P. thibetica(Daiswa thibetica;長葯隔重樓) 四川・貴州・雲南産
var. apetala(無瓣重樓)
クルマバツクバネソウ P. verticillata(P.hexaphylla, P.obovata;
北重樓・上天梯・和葉王孫)遼寧・吉林・黑龍江・華北・甘肅産
『全国中草葯匯編』下/71-72
P. violacea(花葉重樓)
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シュロソウ科 Melanthiaceae(藜蘆 lílú 科) については、シュロソウ科を見よ。 |
訓 |
和名は、赤い外花被片の上に乗る黒い液果の形を、羽根突きの翅になぞらえて。 |
李時珍『本草綱目』(ca.1596)王孫の釈名に、「譜に曰く、〈楚は王孫と名づく。齊は長孫と名づく、又た海孫と名づく。呉は白功草と名づく、又た蔓延と名づく〉と」と。 |
『本草和名』王孫に、「和名奴波利久佐、一名乃波利」と。
『倭名類聚抄』王孫に「和名沼波利久佐、此間云豆知波利」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』王孫に、「ツクバネサウ同名アリ」と。
(ツチハリの正体については、下の誌を見よ。)
岩崎灌園『本草圖譜』(1828)に、「王孫 をにのまゆはき」としてフタリシズカの図を載せる。なお、王孫はツクバネソウであり、オニノマユハキはヒレアザミの別名でもある。 |
属名は、ギリシア神話に出るトロイの王子パリスから。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・華東・四川に分布。 |
誌 |
中国では、ツクバネソウの根茎を王孫(オウソン,wángsūn)と呼び、薬用にする。『中藥大辭典』0634 |
『万葉集』巻7/1338に、
吾が屋前(にわ,やど)に生ふる土針(つちはり)心ゆも想はぬ人の衣(きぬ)にす(摺)らゆな
とある土針は、古くはツクバネソウと考えられてきたが、牧野は正体不明といい、松田はメハジキであるという。 |